スペンサーはその生物学原理(Principles of Biology 第一巻三三六及び三四四頁)において次のように言っている。『恐らく多くの人々は虚無からある新しい有機物が創造されると信じているであろう。もしそういうことがあるとすれば、それは物質の創造を仮定することで、これは全く考え難いことである。この仮定は結局虚無とある実在物との間にある関係が考えられるということを前提するもので、関係を考えようというその二つの部分の一方が欠如しているのである。こういう関係は全く無意味である。エネルギーの創造ということも物質の創造と同様にまた全く考え難いことである。』また『生物が創造されたという信仰は最も暗黒な時代の人類の間に成立った考えである。』もっともこの終りの判断は幾分修正を要するかも知れない。なぜかと言えば、虚無からの創造が可能であるという考えはかなり進んだ発達の段階において始めて現われたものであるからである。