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ね。君も気附いたろう?
「ね。君も気附いたろう? ほら、このハンドルの上には、この人の指紋以外に、この首飾の指紋、つまり被害者の指紋は一つも見られない。これでよろしい。さあ、バルーンを静かに降ろして下さい」 喬介の言葉に、係の男は一寸不審気な表情を見せたが、間もなく作業手袋を嵌めて、捲取機のハンドルを廻し出した。 一呎。二呎。――広告気球は静かに下降し始めた。 喬介は拡大鏡を、捲き込まれて行くロープに近附けて鋭い視線をその上に配っていた。が、間もなく三十五、六呎も捲き込まれたと思う頃、広告気球の下降を中止さして、司法主任に声を掛けた。「犯人を見附けました――」 喬介のこの言葉に少からず驚いた私達は、喬介の指差した太い麻縄のロープの一部に、深く染み込んでいる少量の赤黒い血痕を認めた。「これがつまり被害者の頸部の絞傷から流れ出た血痕です。さあ、もうバルーンの用事は済みました。揚げて下さい……ああ一寸待って下さい。全部降しちゃって下さい。まだ一事忘れていた。当っているかいないか、一寸試して見ますから」 係の男は、呆気に取られたまま、再びクランクを始めた。

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