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その混亂のあとには
 その混亂のあとには、持出した家財金目のものが少からず紛失した。娯樂ものの講談に、近頃大立ものの、岡引が、つけて、張つて、見さだめて、御用と、捕ると、其の幽靈は……女い女とは見たものの慾目だ。實は六十幾歳の婆々で、かもじを亂し、白ぬのを裸身に卷いた。――背中に、引剥がした黒塀の板を一枚背負つて居る。それ、トくるりと背後を向きさへすれば、立處に暗夜の人目に消えたのである。
 私は、安直な卷莨を吹かしながら、夜番の相番と、おなじ夜の彌次たちに此の話をした。
 三日とも經たないに……
「やあ、えらい事に成りました。……柳原の燒あとへ、何うです。……夜鷹より先に幽靈が出ます。……若い女の眞白なんで。――自警隊の一豪傑がつかまへて見ると、それが婆だ。かつらをかぶつて、黒板……」
 と、黄昏の出會頭に、黒板塀の書割の前で、立話に話しかけたが、こゝまで饒舌ると、私の顏を見て、變な顏色をして、
「やあ、」
 と言つて、怒つたやうに、黒板塀に外れてかくれた。
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