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盆の十三日には魂迎えとして
 盆の十三日には魂迎えとして菩提寺へ詣るのが習わしである。いつもお時が詣るのであるが、ことしは十吉が代って行くことになって、お米も夕方から一緒に行く約束であった。「じゃあ、おっかさん。もうそろそろ行こうかね」と、十吉が言った。「ああ、暗くならないうちに行っておいで。和尚さまは池の蓮をたいそう褒めていなすったから、ついでに少し取って行って上げたらよかろう」 十吉は蓮池のそばへ行って紅と白とを取りまぜて五、六本の花を折った。涼しい風は水の上に渡って、夕暮れの色は青い巻き葉のゆらめく蔭からおぼろに浮かんで来た。お米と十吉とは仲よく肩をならべて出て行った。やがて自分の嫁にする娘かと思うと、歳よりもませたようなお米のうしろ姿がお時の眼にはかえって可愛らしくも見えて、彼女は思わずほほえまれた。二人が出て行くとき、綾衣も襖を細目にあけて見送っていた。 秋をうながすような盆唄の声がまた聞えた。近くきくと騒々しい唄のこえも、遠くとおく流れて来るとなんだか寂しい哀れな思いを誘い出されて、お時は暮れかかる軒の端を仰いだ。軒には大きい切子燈籠が長い尾を力なくなびかせて、ゆう闇の中にしょんぼりと白い影を迷わせていた。 CSR yononakaさんのまとめ ? NAVERまとめ
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