司法主任は、極度の興奮のために歯をカチカチ鳴らしながら、静かに降りて来る広告気球と、喬介の横顔と、そうして係の男の挙動とを、等分に見較べながらつっ立っていた。 やがて広告気球が降り切って、その可愛い天体の様な姿を私達の頭上に横たえると、喬介は瓦斯注入口の弁を開いてその中へ細い手首を差し込み、暫く気嚢の内底部を掻き廻していたが、間もなく美しい首飾を一つ取り出した。「図太い野郎だ!」 司法主任が係の男にとびかかろうとした。「お待ちなさい。人違いですよ。犯人はバルーンです。この軽気球です。ほら、これを御覧なさい」 喬介が、瓦斯注入口の金具、弁、新しく発見された首飾の三点に、先程の「灰色粉」を振り掛けて刷毛で払うと、三点共に同じ様な幾つかの指紋が、見る見る検出されて来た。「御覧なさい。この人の指紋ではないでしょう?」「ふーむ。確かに被害者野口達市の指紋だ」 司法主任はまるで狐につままれた態だ。喬介は私の方を振向いた。「君。済まないがね。中央気象台へ電話を掛けて、昨晩の東京地方の気象を問い合せて下さい」プラセンタ 口コミ プラセンタ 化粧品・サプリメント・ドリンク通販|ドクタープラセンの ...