ああ、なんという謙遜な言葉であろう。ああ、なんという部下思いの言葉であろう。
彼は、自分のたてた大功を誇らず、まず何よりも忠勇な部下であり、そしてまた一度は脱走兵の汚名を着た杉田のために、その功を称えたのであった。
「いや、よく分かっとる」と、長谷部少佐は戦友の手をやさしく撫でつつ、
「杉田も、えらい奴だ。貴様が優しくて強いから、そんないい部下ができたのだ。結局やっぱり貴様がえらいということになるのだ。さあ、飛行島は、ついに爆破された。これで英国の間違った永い間の悪夢も、きっと覚め、東洋における大日本帝国の正しい地位を考えなおすことになろう」