『御心配はいりませんよ、叔父さん。』ジユウルが横から急いで口を入れました。『僕たちはそんな事をしないやうに注意します。危いですからね。』
『では、お前達は何が機関車や其他のいろんな機械を動かすのか分つたね。しつかり蓋をした、丈夫な汽鑵の中で、熱した炉の力で蒸気が出来るのだ。強い力を持つた此の蒸気は、いろ/\な方法で逃げ出さうとする。そして其の逃げ路を遮つてゐる所に特に圧力を加へる。かうして、あの機関車を動かしたやうに、何でも動かす力が出て来るのだ。最後にもう一度云つて置くが、どんな蒸気機械にでも、其の力を産む一番大事な物は汽鑵だ。即ち水を沸かす緊め切りの釜だ。』
四八 機関車
ポオル叔父さんは次のやうな絵を甥達に見せて、説明をしました。
『これは機関車の絵だ。蒸気の出来る汽鑵、即ち湯を沸す釜は、此の大部分を占めてゐるのだ。それは六つの車の上に載つて、此方の端から向ふの端まで行つてゐる、此の大きな円筒だ。丈夫な鉄の板で出来てゐて、大きな釘でしつかりと縫ひ合はせてある。汽鑵の前の方には煙突があつて、後の方には炉がある。火夫と云ふ男が、大きなシヤベルで絶えず其の中へ石炭を投げ込んでゐる。汽鑵の中にはいつてゐる沢山の水を沸かして、十分な蒸気を出すために、火熱を絶やしてはならないからだ。