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ひるから夢殿に行った
 ひるから夢殿に行った。天平時代に建てられたこの美しい八角の殿堂は、西の入り口から見ると、惜しいことに周囲が狭すぎて、十分の美しさを発揮しないように思われる。聖徳太子の斑鳩宮(いかるがのみや)は今の堂の配置とは異なっていたらしい。しかし講堂たる伝法堂は橘夫人の邸宅より移した住宅建築である。廊下の奥にその伝法堂の見えている絵殿のぬれ縁に立って夢殿をながめると、かろうじて堂の全貌を見ることができる。それほど建築が近接しているのである。それは伽藍(がらん)の感じではなくて、住み心地のよい静かな住宅の感じだともいえる。  夢殿の印象は粛然としたものであった。北側の扉をあけてもらって堂内に歩み入り、さらに二重の壇をのぼって中央の廚子に近づいて行くと、その感じはますます高まって行った。
blog :: 隨意窩 Xuite日誌
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