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「いや、正確に他殺です」
「いや、正確に他殺です」と法水は沈痛な声で云ったが、「しかし、ここへ貴女をお呼びしたのは、ほかでもないのですが、昨年算哲が遺言書を発表した席上から、いったい誰が先に出たのでしょうね」 すでに一年近くも経過しているので、勿論伸子は、一も二もなく頸を振るものと思われていた。ところが、そのいかにも意味ありげな一言が、伸子に何事かを覚らせたと見えた。いきなり、彼女の全身に異様な動揺が起った。「それは……あの……あの方なのでございますが」と伸子は苦しげに顔を歪めて、云うまい云わせようの葛藤と凄烈に闘っている様子であったが、やがて、決意を定めたかのように毅然と法水を見て、「いま私の口からは、とうてい申し上げることは出来ません。けれども、のちほど――紙片でお伝えいたしますわ」 法水は満足そうに頷いて、伸子の訊問を打ち切った。熊城は、今日の事件において、最も不利な証言に包まれている伸子に対して、いささかも法水が、その点に触れようとしなかったのが不満らしかったが……しかし、乾板に隠れている深奥の秘密を探る最後の手段として、いよいよ神意審問会の光景を再現することになった。勿論それ以前に法水は、鎮子に私服を向けて、当時七人が占めていた位置について知ることが出来た。ところでその配置を云うと、ダンネベルグ夫人一人のみを向う側にして、その間に栄光の手(絞死体の手を酢漬けにして、それをさらに乾燥したもの)を挾み、その前方には、左から数えて、伸子・鎮子・セレナ夫人・クリヴォフ夫人・旗太郎――と以上残りの五人が、相当離れて半円形を作っていたが、独りレヴェズのみは、半円形の頂点に当るセレナ夫人の前面で、やや跼み加減に座を占めていたのである。そして、六人の位置は、入口の扉を背面にしていたのだった。

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