SEO対策
リンク


先斗町に夜が来ていた
 先斗町に夜が来ていた。 桔梗家の二階――鴨川をへだてて、四条京阪のプラットホームや、南座の灯が見える部屋で、小郷虎吉は芸者や仲居を相手に、かなり酔っていた。「君勇はまだか」 先斗町へ来て、君勇の顔が見えぬと、もう小郷は糞面白くなかった。「もうじき来やはりますえ」「来る来るって来んじゃないか」「いま貰い掛けましたさかい、じきどす」「一体どこの座敷へ行っとるんだい、君勇のやつは……」 さんざん待たされたので、小郷は野暮な声を出して、野暮なことをきいていた。「祇園へお呼ばれや――言いましたやろ。何べん言うたらお分りどんネ」 鴨川踊りの初日に鳥追女を踊る市龍という、面長の背のすらりとした芸者が、なんと野暮な客だろうと呆れながら、「――さア、おあけやす。ぼうふらが湧きまっせ」 と、ビールの瓶を持った。「よし飲む」 一息にのみほして、「祇園の何という店だ」「知りまへん」 市龍は横を向いてしまった。 君勇が先斗町から呼ばれて行った先は、祇園の備前屋だった。 わざわざ名指しだったが、お座敷は見知らぬ顔ばかりだった。 世界文学社の島野二三夫、評論兼翻訳家の桑山竹夫、同じく吉井正太郎、同じく中山定二、小説家の小田策之助という、凡そ粋ならざる書生っぽばかしの一座であった。 実は、桑山竹夫が今日仙台からやって来たので、その歓迎の意味もあり、島野の招待で一同ぼそんと備前屋の二階にやって来たわけである。 名づけて「林檎の唄を歌う会」 ――林檎の唄にかけてはかなりのうんちくのある山吹教授は、明日結婚式があるので欠席した。鹿沼 歯医者 痩せ馬に鞭 ? FrontPage
twitter
Hatena
Google Buzz
newsing
Yahoo!
Buzzurl
Technorati
del.icio.us
Choix
Iza!
Livedoor Clip
Facebook
Evernote