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「それだけ全部闇屋に払うのか」
「それだけ全部闇屋に払うのか」「いや、配給もあるし、ない時は吸殻をパイプで吸うし、しかし二千円はまず吸うかな」「じゃ、いくら稼いでも皆煙にしてしまうわけだ。少し減らしたらどうだ」「そう思ってるんだが、仕事をはじめると、つい夢中で吸ってしまう。けちけち吸っていると、気がつまって書けないんだ」「いっそ仕事をへらしたらどうだ。仕事をへらせば、煙草の量もへるだろう。仕事をしてもどうせ煙になるんだから、しない方がましだろう。百円の随筆を書くのに百円の煙草を煙にしては何にもならない」 そう理詰めに言うと、十吉は、「それもそうだな」 と、ひとごとのように感心していたが、急に、「あ、そうだ、煙草だけじゃない。たまに珈琲も飲む」「砂糖がよく廻るね」「闇屋が持って来るんだが、ない時はサッカリンを使う」「煙草に砂糖、高いものばかしだ。少し贅沢じゃないかな」「いや、贅沢といえば贅沢だが、しかしこりゃ僕の必需品なのだよ。珈琲はともかく、煙草がないと、一行も書けないんだからね。その代り、酒はやめた。酒は仕事の邪魔になるからね」「仕事を大事にする気はわかるが、仕事のために高利貸に厄介になるというのも、時勢とはいいながら変な話だ。二千円ぐらい貯金があってもよさそうなものだ。随分映画なんかで稼いだんだろう」 風俗アルバイトリンク 利口の猿が手を焼く
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