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天長節を控へ舎を挙げて
 天長節を控へ舎を挙げて祝賀会の余興の支度を急いでゐる時分、私と小学校時代同級であつた村の駐在巡査の息子が、現在は父親が署長を勤めてゐる要塞地の町の中学から転校して寄宿舎に入つて来た。前歯の抜けた窪い口が遙か奥に見えるくらゐ半島のやうに突き出た長い頤、眼は小さく、額には幾条もの太い皺が寄り、老婆そのまゝの容貌をしてゐたので、入舎早々ばア様といふ綽名がついた。ばア様といふ綽名は又如何にもそのこせ/\した性情をよく象徴してゐて、実に小言好きの野卑な男で、私の旧悪を掘り出して人毎に曝くことを好んだ。黒坊主黒坊主と言つて私を嘲弄したことを、それから私が黒坊主と言ひそやされる反動で、奇妙な病気から鼻の両脇に六つの小鼻が鈴生に累結してゐる子供を鼻六ツ々々々と言つて泣かせ、その弱味につけこみ覗メガネの絵など高価に売りつけたり、学用品を横領したりしたことを。猶又、駄菓子屋の店先に並んだ番重の中から有平糖を盗み取る常習犯であつたことまで数へ立てて、私を、ぬすツと、と言つて触れ廻つた。さうした私の悪意を極めた陰口と見え透いたお世辞とによつて彼は転校者として肩身の狭い思ひから巧に舎内の獰猛組に親交を求め、速に己が位置を築くことに汲々としてゐた。デリヘル 六本木ASK
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