まずこれくらいで宜しかろう。だが、せっかく新しい嵐を孕む雲が、地平線の上に群がり、絶対の必要として、誰かがアイルランド総督に任命されなければならないのだった。去る夏の不祥事件以来、アイルランドに対しては、何事もなされていなかった。任命問題は急迫している。女王は、自分では適任者を見つけたつもりでいる――マウントジョイ卿である。彼の容姿に烈しい魅力を感じるほかに、彼女は彼の能力も高く買っていた。――マウントジョイこそ、アイルランドのみならず、かくも紛糾した白宮殿にも、平和を齎すであろうときの氏神かと思われた。だのに、風位は再び変わった。エセックスがもう一度、彼自身の支持者の一人であるマウントジョイの任命に苦情を出したのである。彼は断言する、マウントジョイは、そのような役に適せぬ者である――彼は将軍であるよりも、むしろ学者であるというのだった。では、とエセックスは聞かれた。お前は誰を推薦するのか? 幾年か前に、ベエコンが手紙で、ほかならぬこのアイルランド問題について彼に忠言を与えている「思うに、この問題に閣下の声望をもって望まれるなら――というのは、閣下が任をお受けになると仮定すれば、という意味ですが――閣下の声望はチロオヌを、その随喜する和協のもとに処置するうえに、おおいに役だつにちがいありません。そしてあなたは、やすやすと大いなる勲功をお収めになるでしょう」ただ一つだけ、このやりかたの途上に横たわる障碍がある、とベエコンは考える。「そのような場合に、閣下はあまりにも早合点でいらっしゃるゆえ、嘘から誠をだしておしまいになるのです」われわれは、御前会議のテーブルをかこみながら、紛糾し、陰蔽され、白熱した動きの、すべてを再現することはできない。
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