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飛行船の速度は次第に増して
という程なく飛行船の速度は次第に増して、月へ月へと吸い付けられるようにと下降し初める。文彦は、「ブレーキを悉皆かけてくれ。」と東助に命じて、自分は注意して電圧器を加減しながら、一心に梶を取っている。 やがて船は次第に間近くなって、二人は無事に月界の上に下り立った。「若旦那様これが月の世界というでござりますか。」「そうだ。」「それじゃいよいよ篠山のお旦那様もここにいらっしゃるでがすね、もしあの秋山様に探し出されねえ中に少しも早く……」「そうお前のように急々したって仕方がないじゃないか、それよりも第一にどこか適当の場所を探して一まず落着く場所を拵えなければならん。」「成程。それも御道理でがす。」と再び二人は飛行船に乗じて、今度は地と擦れ擦れに進みながら、そこここと見下すとある山の麓にこんもりとした林があってその間に一筋の小川が流れている。「あそこがよかろう。」とそこに飛行船を降し、その中から予て用意の天幕を取り出し、力を合せてその森のほとりに建て、飛行船を解剖して小さく畳んでその中に入れて、これで一まず仕度は整うた。カンボジア ビザ 薄氷を履むが如し
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