それによると、最初のうち法水は、レヴェズが虹を作ったことを、他の何者かを庇おうとする騎士的行為と見做していたらしかったが、さらに深く剔抉していって、ついにそれが恋愛心理に帰納されてしまうと、必然犯人がクリヴォフ夫人を射損じたことを、偶然の出来事に帰してしまうより他にないのだった。しかし、検事と熊城には、そのいずれもが実証的なものでないだけに、半信半疑と云うよりも、何故法水が虹などという夢想的なものにこだわっていて、肝腎の算哲の墓※発掘を行わないのだろう――と、それが何より焦しく思われるのだった。ことに、レヴェズの恋愛心理が、後段に至ってこの事件最後の悲劇を惹起しようなどとは、てんで思いも及ばなかったことだろうし、また、法水が押鐘津多子を犯人に擬したことにも、それ以外にある重大な暗示的観念が潜んでいようなどとは、勿論気づく由もなかったのである。こうして、いったん絶望視された事件は、短時間の訊問中に再び新たな起伏を繰り返していったが、続いて、現象的に希望の全部がかけられている、大階段の裏――を調査することになった――それが五時三十分。
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