一災起これば二災起こる
■暗示の力を語る
警察も型通り前後の模様を聴取しただけで、手を引く。ただモウパア警部だけは何か気になる様子で、家具、寝台、床などを見廻ったり、壁を叩いてみたりしていたが、勿論これといって怪しい点のある訳もなく、調べはそれで済んだ。その日、止宿人の大半は宿を換えてしまった。 マダム・セレスティンは悲観の底に沈んでいる。
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■英国人の不思議
ヴァルダンと同国人――が投宿して、その男の口から、二週間前の十四号室の悲劇がヴァルダンに知れてしまった。誰だって気味が悪い。早速他の部屋へ移すか、さもなければここばかりがホテルではない、直ぐ出るという、強硬なヴァルダンの掛合いを受けて、マダム・セレスティンはすっかり当惑した。
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■ホテル・アムステルダム
旧式な建物だった。万事古風に出来ていた。壁に、巌丈な鉄の鉤が打ち込んであって、それに重い窓掛を通す鉄棒がかかっている。ブルウス・テイラアは、カアテンを片寄せる強い組紐で首を吊って、その鉤からぶら下がって死んでいた。
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