一災起これば二災起こる
■暗示の力を語る
神経の太い人にその自殺室――じっさいもう三階の十四号には、ホテル・アムステルダムの自殺室という有難くない綽名がついてそろそろ口さがない巴里童の噂に上りつつあった――に暮らして貰って、部屋そのものは何ら人命に関することのない事実を、身をもって証明して貰わなければならない。遠のいて行く客足を引き止めるには、それが第一である。刻下の急務である――というので、百法の懸賞つきで勇士の現れるのを待ってみたが、近処の男達もみな尻込みして、この英雄の役を買って出ようという者はないのだ。川口 歯科

(c)一災起これば二災起こる All rights reserved.