■出來るだけ自分の心の中の生活の底を見せること
A 出來るだけ自分の心の中の生活の底を見せること――これより外に俺には書くことがなかつた。併し俺の割つて見せる生活の底を誰が見るのだ、どんな奴が見るのだ。 B 僕は久しい間その疑惑の言葉を待受けてゐた。一體君がものを云ふ態度には頭隱して尻隱さずと云ふ趣がある。君は處女のやうな羞恥を以つて自分の生活の肌を見せることを恐れながら、而も普通以上の大膽を以つて自分の尻をまくつて見せてゐるのだ。尻をまくつて見せながら赤面してゐるのだ。君の自己告白の態度には、妙に極りが惡さうな、拘泥したところがあるから、平氣で云つてのければ特別の注意をひかずにすむところでも、君のやうな物の云ひやうをすると却つて他人の好奇心を煽るやうなことになるのだ。君の逡巡と内氣とは、却つて君の見せるを敢てしないところにまで、此處に注目せよとアンダーラインを引くと云ふ結果を持ち來してゐる。この間の矛盾は、君の表現の内容が深入りすればするほど、益〃著しくなつて來てゐるやうだ。インゴットSEO huyoujyou's Blog - MyAnimeList.net
■さうして徒に紙上に形成せられたる人形として
さうして徒に紙上に形成せられたる人形として、流産せる經驗はその死骸を晒す。俺は書かない者の多數にとつて、經驗は眞正に具體的の姿をとらないことも知つてゐるが、俺は又書かないものに比べて書く者の方に、經驗を半熟の姿に玩弄するオツチヨコチヨイが多いことをも知つてゐる。 書けることはよいことである。併し書けないことは必ずしも惡いことではない。書けない時に書くよりも――本當に書かずにゐられない事がないのに書き散らすよりも、書かない方がよいことである。さうして同じく書く可からざる状態にありながら、書けないことの苦しみを知らぬ者よりも、書けないことの苦しみを本當に經驗する者の方が優つてゐる。(三、一、一八)ウィルゲート 金の切れ目が縁の切れ目
■俺は書かずにゐられない心持を知つてゐる
俺は書かずにゐられない心持を知つてゐる。俺の中にたしかなものを感ずるにつれて、俺の此心持は愈〃切實になつて來る。 俺は書くことが出來ない心持を知つてゐる。大なる醗酵の時、大なる動亂の時には、肚の中に渦卷くもの、燃えるものを感ずるのみで姿が定まらない。半成の姿は之を筆にするに及ばずして、之を熔解し、之を破壞する力に逢着する。書けないと云ふ事は沒落の徴候ともなり又大なる準備の徴候ともなる。發育のカーヴが急轉する時、書くことが出來なくなるのは當然である。俺は書けない意味を知つてゐるつもりである。 俺は又書くことの危險を知つてゐる。或經驗を深く掘つて行く努力の方向と、或經驗を總攬し形成し――從つて書く――努力とは必ずしも一致しない。經驗の爛熟を待たずして、意識をその表現に轉向する時、經驗は往々その歩みをとゞめる。valid seo miuの日記 - エムペ!無料ホムペ作成
ナビ: < 88 | 89 | 90 | 91 >
-ホーム
-konoyo [336]
(c)この世でいちばん大事なこと All rights reserved.
