■お母さん、木の実でしょうか
「お母さん、木の実でしょうか、草の実でしょうか?」と、ききました。「やぶの中に生えている、なにかの木の実のようですね。」「これを土にうずめておくと、芽が出るでしょうか。」と、義雄さんは、たずねました。「ええ、出ますとも、みんな草や、木の実は下に落ちてそこだけに、芽を出すものではありません。こうして、鳥にたべられて、その鳥が、遠方に飛んでいって、ふんをすると種子が、その中にはいっていて、芽を出すこともあるのです。そして、その芽が大きく伸びて、一本の木となった時分には、その木の親木は、もう、枯れていることもあります。またじょうぶでいることもあります。そんなことが、たび重なるにつれて、その木の子や、孫が地面上に殖えていって繁栄するのです。」と、お母さんは、おっしゃいました。「考えると、不思議なもんですね。」「それだから、美しい実のなるのも、木には、深い意味があるので、自分の種類を保存することになるのです。」「人間は、どうなんですか。」「どう、おまえは考えるの。お父さんや、お母さんは、だんだん年をとって、働くことができなくなります。その時分には、おまえたちは大きくなって世の中のためにつくし、また、家のために力とならなければならない。そして、私たちの力でできなかったことをもやりとげなければならないのです。」とおっしゃいました。 義雄さんは、お母さんのお話をきくと、いっそう、赤い実がなつかしくなりました。その赤い実を、またざくろの木にさしておこうかとも思ったが、それよりは、お庭の日当たりのいいやわらかな土にうずめてやったほうがいいと思って、そうしました。 義雄さんには、将来の楽しみが一つできました。来年の芽の出る春が待たれたのであります。 お台場 歯医者 - 網誌 ? yam天空部落
■近づいてみると
近づいてみると、ちょうどルビーのように、美しくすきとおる、なにかの小さい実が、ざくろのとげにつきさされていたのでした。「どうして、こんなところに赤い実がつきさされているのだろう。」 義雄さんは、赤い実をとげからぬき取って、木から下りると、お母さんのところへ持ってまいりました。 すると、お母さんは、「うぐいすか、なにかそんなような鳥が、どこからか、くわえてきてさしていったのです。」とおっしゃいました。「どうして、あんなところにさしておいたんでしょうね。」「あとから、こっちへとんでくるお友だちに知らせる目印にしたのかもしれませんね。それでなければ、あまり赤くてきれいな実だから、食べるのが惜しくてしまっておいたのかもしれません。そして、そのうちに忘れてしまって、どこかへ飛んでいってしまったのでしょう。」と、お母さんはおっしゃいました。義雄さんは、なんだかそのうぐいすがなつかしい気がしました。「お母さん、きっと、惜しくてたべなかったんですよ。」「ああ、そうかもしれません。」 美しい、赤い実を掌の上にのせて、ながめていた義雄さんは、なんの実だろうかと思いました。山形 歯医者 クレジットカードでSEO対策を強行|yaplog!(ヤプログ!)byGMO
■ずいぶん薄情だね
「林さん。おまえさん、ずいぶん薄情だね」 だしぬけに鋭いヒステリックの声を浴びせられて、気でも違いはしないかというように、林之助は呆気にとられた顔をしてお絹をみると、彼女のものすごい眼は上吊っていた。その声はもう嗄れていた。「お前さん、あたしというものをどうして呉れるつもりなの。おまえさんを屋敷へやった以上は、どうで二人のあいだに長い正月のないことはあたしも大抵あきらめていたけれども、目と鼻の広小路へ来て列び茶屋の娘とふざけ散らしている。そんなことをされて、おとなしく見物しているあたしだと思っているのかえ」と、お絹は早口に言った。「いつもいう通り、蛇は執念ぶかいんだから、そう思っておいでなさいよ」「列び茶屋の娘……。そりゃあ思いもつかねえ濡衣だ。なるほど友達のつきあいで、列び茶屋の不二屋へ此中ちょいちょい遊びに行ったこともあるが、なにも乙に絡んだことを言われるような覚えはねえ。こう見えてもおれは大川の水、あっさりと清いものだ」「悪くお洒落でないよ」と、お絹は男の肩を一つ小突いた。「お前さんが不二屋のお里とトチ狂っていることは両国でみんな知っているんだよ。さあ、これからあたしと一緒に不二屋へ行って、あたしの眼の前でお里と手を切っておくれ」 頭皮の老化 あんだんてシャンプー?自然の恵みで楽しい入浴?/天然系無添加処方 ...
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