この世でいちばん大事なこと
■釘が二本抜けていますな
「なるほど、釘が二本抜けていますな。名画のあとへ、こんな怪画を入れて行くとは、けしからん犯人です。必ず犯人をつきとめて御安心願うようにします。盗難のあった前夜のことから詳しく話していただきましょう」 探偵は熱心に伯爵の話を聞き、そして鋭い質問を連発した。「なにしろ御承知のように零落して居りまして、雇人と申しては年とった小間使お種と、雑用の爺や伝助とだけです。僕は毎夜この書斎で画を見て、その後で自分で入口の扉に錠をかけて寝室に引込むのです。その前夜も、もちろんそうしました。そしてたしかにそのときは本物の『カルタを取る人』の画が額縁にかかっていたのです」 伯爵は、探偵に詳しく前夜から事件を発見した朝までのことを説明した。
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■戦機は熟した
 戦機は熟した。 全身に、妙な白い入墨をした原地人兵が、手に手に、盾をひきよせ、槍を高くあげ、十重二十重の包囲陣をつくって、海岸に押しよせる狂瀾怒濤のように、醤の陣営目懸けて攻めよせた。 これに対して、醤の陣営は、闃として、鎮まりかえっていた。 ただ、かの醤の陣営の目印のような高き望楼には、翩飜と大旆が飜っていた。 その旆の下に、見晴らしのいい桟敷があって、醤主席は、幕僚を後にしたがえ、口をへの字に結んでいた。 この望楼の前には、百万を数える人造人間が、林のように立って居り、その望楼の後には、これは赤い血の通った醤軍百万の兵士たちが、まるでワールド・シリーズの野球観覧をするときの見物人のような有様で、詰めかけていた。 雲霞のような原地人軍は、ついに前方五千メートルの向うの丘のうえに姿を現した。「おい、油学士。もう人造人間をくりだしてもいいじゃろう」「はい。只今、命令を出します」 命令は出た。
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■えへんと咳払いがした
 すると、うしろで、えへんと咳払いがした。主席は、はっとして、うしろをふりかえってみると、何時の間に現れたのか、そこには当の油学士が、いやに反り身になって突立っていたではないか。「ああ醤主席、あなたが心痛されるのは、それは一つには私を御信用にならないため、二つには金博士を御信用にならないためでありますぞ。金博士の設計になるものが、未だ曾て、動かなかったという不体裁な話を聞いたことがない。主席、あなたのその態度が改められない以上、あなたは、金博士を侮辱し、そして科学を侮辱し、技術を侮辱し、そして……」「やめろ。お前は、まるで副主席にでもなったような傲慢な口のきき方をする。見苦しいぞ。わしはお前には黙っていたが、こんどの人造人間戦車が、満足すべき実績を示した暁には、お前を取立てて、副主席にしてやろうかと考えているんだ。しかし実績を見ないうちは、お前は一要人にすぎん。――どうだ。本当に大丈夫か。仕度は間に合うか」 油学士は、かねて狙っていた副主席の話を、思いがけなく醤の口からきかされたので、彼は処女の如く、ぽっと頬を染め、「大丈夫でございますとも、丁度只今、一切の準備が整いました。仍って、夕陽を浴びて、輝かしき人造人間戦車隊の進撃を御命令ねがおうと思って、実は只今ここへ参りましたようなわけで……」 と、油学士は、急に慎しみの色を現して、醤主席を拝したのであった。
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