2014年6月2日 [ SEO対策 ]
チマ子は靴も差入れようとしたのだが、拘置所では靴をはくことは許されず、持って行った靴は守衛への賄賂になったのだ。「この草履はまずい!」銀造は、もう誰も追って来ないと判ると、息苦しい胸を撫ぜて歩きながら、呟いた。洋服に草履ばきは、昨日今日ざらにある敗戦の身なりで、何の不思議もないとはいうものの、烱眼に掛れば、囚人用の草履であることを見抜くかも知れない。
銀造は桜橋まで来ると、曾根崎の方へ折れて闇市の中へまぎれ込み、ズックの靴を買った。財布の金はまだ百円近く残っていた。
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投稿者 issai : PM2:40