■目黒には有名な寺が多い
前にいった瀧泉寺門前の料理屋角伊勢の庭内に、例の権八小紫の比翼塚が残っていることは、江戸以来あまりにも有名である。近頃はここに花柳界も新しく開けたので、比翼塚に線香を供える者がますます多くなったらしい。さびしい目黒村の古塚の下に、久しく眠っていた恋人らの魂も、このごろの新市内の繁昌には少しく驚かされているかも知れない。 正覚寺にある政岡の墓地には、比翼塚ほどの参詣人を見ないようであるが、近年その寺内に裲襠姿の大きい銅像が建立されて、人の注意を惹くようになった。云うまでもなく、政岡というのは芝居の仮名で、本名は三沢初子である。初子の墓は仙台にもあるが、ここが本当の墳墓であるという。いずれにしても、小紫といい、政岡といい、芝居で有名の女たちの墓地が、さのみ遠からざる所に列んでいるのも、私にはなつかしく思われた。上越の美容院
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