一災起これば二災起こる
■陰気な店構えをしている
今日のように各町内連合の年末大売出しなどというものはない。楽隊で囃し立てるようなこともない。大福引きで箪笥や座蒲団をくれたり、商品券をくれたりするようなこともない。しかし二十日過ぎになると、各商店では思い思いに商品を店いっぱいに列べたり、往来まで食み出すように積みかさねたりする。景気づけにほおずき提灯をかけるのもある。福引きのような大当りはないが、大抵の店では買物相当のお景物をくれることになっているので、その景品をこれ見よとばかりに積み飾って置く。それがまた馬鹿に景気のいいもので、それに惹かされると云うわけでもあるまいが、買手がぞろぞろと繋がってはいる。その混雑は実におびただしいものであった。阿佐ヶ谷の美容室

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