一災起これば二災起こる
■早く働いた方がいい
屋上に腰を下ろし、空を見上げた。 午前二時十六分、月はほんのわずか東側から欠けはじめた。 午前三時二十二分、白く輝く月は、夜空から完全に消えた。 だが、皆既食に入ったからといって、月がまったく見えなくなってしまうわけではない。夜空はずいぶんと暗くはなるが、大気のいたずらで月は鈍い赤銅色に見える。 タケシは飽かず、赤銅色の月を見上げていた。 午前四時四十四分、失っていた白い輝きを、月は東側から取り戻しはじめた。 鳥がさえずりはじめた。 午前五時五十分、月食が完全に終わったとき、タケシの熱は少しだけ冷めていた。 職を探す気になった。オンライン 英会話

(c)一災起これば二災起こる All rights reserved.